編集部では動画配信、コミュニティ構築、メールマガジン配信でKAJABIを1年間使用しました。
編集部が実際に使って感じた率直な評価
まず、UIがやはり海外ツールと言うことでかなり洗練されていると思います。筆者はUtageも利用したことがありますが、Utageと比較するとKAJABIは使いたい機能に最小限のクリックで進むことができますし、管理画面がモダンな感じがし、管理画面を開くたびにワクワクする印象があります。英語と言うハードルはありますが、この手のツールによくある「どこで何をしたらいいのか。。。」のように感じることはありませんでした。
また、LP作成機能をつかうことで、ウェブサイトを作成してホームページのように扱うことができるのですが、この機能も期待以上の仕様となっていました。 WebflowやElementorなどのようにブロックを組み合わせてページを作成できるのですが、とてもモダンなページを作成することができます。他の競合もページを作成することはできますが、何か一昔前のデザインになってしまう傾向がありました。KAJABIを使うことで、割と簡単にスタイリッシュなサイトを作成することができました。 ただ、デザインセンスは必要なので、色合いなどによっては当然ダサいサイトにもなることがあります。
他の競合と比べてどうか?
KAJABIの一番の売りは、その機能の多さにあります。 よく比較される競合は Thinkific , Teachable になりますが、KAJABIはそれら以上のコミュニティ機能メール配信機能があります。 特に、メール配信は他の Mailchimp などにも劣らない仕様となっており、有料プランであれば 配信数に上限がありません。他の競合ツールも Zapier などの iPaasと連携することでメール配信やポッドキャスト配信ができますが、KAJABIはすべて一元化されているので、顧客管理やオートメーション自動化の面で優位性があると感じました。
また、後発でありますが、最近KAJABIでも独自ブランドのアプリを公開できるようになりました。もともと無料のアプリがありましたが、自分のロゴでストアから公開するためのオプションが用意されました。これを使うことで、 自分でカスタマイズしたオリジナルのアプリを生徒さんに提供できるようになりました。今まで Thinkific では提供されていましたが、KAJABIもそれに並んで提供するようになりました。
利用に慣れるための期間
いわゆる学習曲線はそこまで高くはないかと思います。日本人でも動画を出されている方もいるので、それを見たりすることで比較的簡単にサイトを公開することができると思います。この点はサイトの規模によると思いますが、最初の1,2個のコースを公開するのであれば、1ヶ月ほどあれば準備はできると思います。本当に最小限の TOPページ、ログインページ、お問い合わせフォーム、コースページくらいであれば無料トライアルの期間でも作成できると思います。
KAJABIが向かないケース
KAJABIを利用する際に、特に注意が必要だと感じた点は以下です。
まず大前提として、管理画面やUIは すべて英語 での操作となります。公式のドキュメントがしっかりと備わっていますが、それらも英語となります。幸い、動画での説明も含まれていることが多いので視覚的に理解することができますが、英語の理解がある程度必要となります。最近であればブラウザのページ翻訳が使えるので、それで対応することでこの点は解消できると思います。
サポートは基本的にチャットが24時間対応してくれますが、チャットの言語も英語となります。自分の聞きたいことをGoogle翻訳やChatGPTで英語化してから聞くことで割と正確な解答を得ることができましたが、それでも一度英語にするという手はあります。
実際のホームページや講座ページなどは日本語化することができるので、実際に日本でも利用されている方も増えてきています。編集部でも確認をしましたが、動画コースのページなどはほぼ95%くらいで日本語化されるので、実際の利用者も迷わずに利用できると思います。ただ、KAJABIの特徴の一つであるコミュニティがまだ完全に日本語に対応していないので、コミュニティを完全に日本語で使いたい方にはちょっとハードルとなる可能性があります。 特に高齢者相手や主婦相手のビジネスとなると、英語に抵抗があったり、ネットの使い方に抵抗があるケースも想定できるのでKAJABIのコミュニティ機能は少々高度な印象がありました。
また、ニッチなケースではありますが、決済方法は Stripe と Paypal 経由が基本となります。国内の決済ゲートウェイとは連携していないので、その点は注意が必要。普通に利用する分にはStripeが世界中で利用されており、日本法人もあるのでクレジットカード受け付けは問題ない。しかし、業種によってはStripeが利用できない業種もあるのでその点は注意が必要。特に金融系や占い系の場合は、Stripeが利用できないので他のプラットフォームを検討した方が良いかもしれません。
KAJABIが向いているケース
一方で、KAJABIが非常に相性が良いと感じたのは、オンライン講座や会員制ビジネスを中長期で育てたいケースです。
単発の動画販売や、シンプルなダウンロード販売だけを目的とする場合はオーバースペックに感じるかもしれませんが、
「講座 → メール → コミュニティ → アップセル」といった流れを一つのプラットフォームで完結させたい場合には、KAJABIの強みが最大限に活きます。
特に、複数のツールを組み合わせて運用することにストレスを感じている方にとっては、
KAJABIの一元管理できる安心感は大きなメリットだと感じました。
実際、編集部でも以前はメール配信、LP作成、会員管理をそれぞれ別ツールで行っていましたが、
KAJABIに統一することで管理の手間が大きく減り、コンテンツ制作そのものに集中できるようになりました。
費用面について感じたこと
KAJABIは、月額料金だけを見ると「高い」と感じる方も多いと思います。しかし、メール配信ツール、LP作成ツール、コミュニティツール、会員管理システムなどを個別に契約した場合のコストを考えると、結果的にコストパフォーマンスは悪くないという印象です。
特に、有料プランではメール配信数に制限がない点は、他の海外メール配信ツールと比較しても大きな強みです。将来的にリスト数が増えることを前提にしている場合、「途中でメール配信コストが跳ね上がる」というリスクを避けられるのは安心材料だと感じました。
また、2025年の価格改定によって一番上のProプランにすることで作成できるコースなどが無制限になりました。今まではKAJABIでは作成できるコースの上限があり、この点がThinkificやTeachableに劣る点ではあったのですが、今回の更新によってコースの数を気にせず作成できるようになったのは大きいです。
総合的な印象
総合的に見ると、KAJABIは
「ITツールにある程度慣れていて、自分のビジネスをしっかり設計したい人向けのプラットフォーム」
という位置づけが最も近いと感じています。
逆に言えば、
- とにかく日本語対応を最優先したい
- サポートは日本語でないと不安
- シンプルな講座を1つだけ作りたい
といったケースでは、国内ツールや他のLMSの方が合っている場合もあります。
KAJABIは「誰にでもおすすめできる万能ツール」ではありませんが、
条件が合う人にとっては、長く使い続けられる強力な基盤になるサービスだと言えるでしょう。