Granolaは、会議やあらゆる会話をAIが文字起こしし、整理されたメモとして残してくれるAI議事録アプリです。OtterやFireflies、Zoom AI Companionのような多くの議事録ツールが「ボット」として会議の参加者リストに入ってくるのに対し、Granolaはパソコンにインストールするデスクトップアプリとして動作し、会議には一切参加者として現れません。マイクとシステムオーディオを直接キャプチャして文字起こしを行うため、相手側の画面には「ボットが参加しました」という表示が出ないのが最大の特徴です。
他の議事録ツールとの違い
多くの議事録ボットは、参加者リストに表示されることで「録音・記録されている」ことを相手に知らせる役割も同時に果たしています。Granolaはこの表示をあえて排除することで、商談やクライアント対応など、会議の雰囲気を損ないたくない場面で強みを発揮します。一方で、相手への録音の告知・同意取得は自分自身で行う必要があるという、重要なトレードオフを抱えている点は理解しておく必要があります。
主な機能

バックグラウンド録音 :
ボットが参加せず、アプリを起動しておくだけで会話をキャプチャする。画面には録音中を示す小さなインジケーターが表示される。
文字起こし+AIサマリー :
会話をリアルタイムで文字起こしし、会議終了後にワンクリックで整理されたメモを生成する。会議中に自分でメモ(スクラッチパッド)を書くと、AIがその内容を文脈と組み合わせて自動的に拡張してくれる、いわゆる「メモ+AI」の仕組みが特徴的。
AIチャット :
会議の内容について、会議中でも会議後でも質問できる。あくまでその会議・過去の会議の範囲内で回答する設計で、外部情報を検索する機能ではない。
メモリー(長期記憶) :
使い続けるほど過去の会話が蓄積され、長期的な意思決定の振り返りにも活用できる。
MCP・外部連携 :
カレンダーと連携し、会議が始まるタイミングで自動的に録音を提案する。SlackのHuddleにも対応。Zapierとの連携に加え、MCPコネクタを通じてClaudeなどのAIエージェントに、会議メモをもとにしたフォローアップメールの下書きやタスク化といった作業を任せることもできる。
テンプレート :
商談・1on1・スタンドアップなど、会議の種類に応じてメモの構成をあらかじめ決めておける。
共有・コラボレーション、自動グルーピング :
チームでスペースを分けてメモを共有でき、特定メンバーだけに関連メモへのアクセスを絞ることも可能。また、同じ取引先との会話を自動でまとめてくれる機能もある。
日本語対応について
Granolaは「多言語対応」を無料プランから含む形でアナウンスしているが、日本語での文字起こし精度や、日本語会話に特化した機能についての具体的な言及は見当たらない。海外の検証記事の中には、非ネイティブの話者やノートPC内蔵マイクといった条件下での文字起こし精度が、Otterなどのボット型ツールよりもやや低くなったという報告もある。日本語での実運用を検討する場合は、まず無料プランで実際の会議や商談を録音してみて、自分の利用シーンでどの程度の精度が出るかを確認することが望ましい。
セキュリティ・プライバシーと注意点
GranolaはSOC 2 Type II認証を取得している。録音した音声は文字起こしのために一時的にのみ利用され、処理が終わると削除される設計になっており、手元に残るのはテキストの文字起こしとメモのみ。HIPAA準拠の可否については公式情報が明確でないため、医療関連など厳格な規制が関わる用途では個別に確認する必要がある。
会話データのAIモデル学習への利用については、個人単位であればBasicプランの時点からいつでもオプトアウト(利用対象からの除外)が可能。ただし、チーム全員分を一括でオプトアウトする「組織全体での設定」は、Enterpriseプラン限定の機能となっている。
なお、実際の利用者からは、特定の会議で録音が正しく行われず、エラー表示もないまま記録が残っていなかったという報告も一定数見られる。重要な商談や面談などでは、念のため他の記録手段も併用するか、会議後すぐにメモが生成されているか確認する習慣をつけておくと安心。また、Granolaはボットとして参加者リストに表示されないため、録音・記録していることを相手に伝える責任は利用者側にある。GDPRの対象地域や、いわゆる「二者間同意」が必要な地域・国では、会議の冒頭で一言、記録している旨を伝えておくことが望ましい。
どんな方に向いているか
向いているケース
- 商談やクライアントとの打ち合わせが多く、話に集中しながらメモも残したい
- 会議中に自分なりのメモを取る習慣があり、それをAIにきれいに整えてほしい
- ClaudeなどのAIエージェントと連携し、議事録後の作業(フォローアップメールやタスク化)まで自動化したい
- ボットが会議に参加すること自体に抵抗がある、または相手への配慮を重視したい
向いていないケース
- 会議の動画そのものを録画・保存しておきたい
- Linux環境や、デスクトップアプリを入れられない業務用PCで使いたい
- 無料の範囲でとにかく無制限に使いたい(他の議事録ツールには、機能を絞る代わりに録音を無制限にしているものもある)
料金プラン
Granolaには、次の3つのプランが用意されている(ユーザー1人あたりの月額)。
Basic(無料)
AIによる会議メモの自動生成、会議中・複数会議をまたいだAIチャット、チームでの共有フォルダ、カスタマイズ可能なメモテンプレート、多言語対応、個人単位でのAIモデル学習オプトアウトが含まれる。最大の制限は会議履歴の保存件数で、公式サイト上では「制限あり」とだけ表記され、具体的な件数は明記されていない。海外のレビュー記事の中には「生涯で25件まで」という数字を挙げているものもあるが、これは第三者による検証情報であり、公式が明言している数字ではない点に注意が必要。商談やクライアント対応で頻繁に使う場合、この上限には比較的早い段階で到達する可能性がある。
Business(月14ドル)
Basicの全機能に加え、会議履歴・メモの保存件数が無制限になり、より高度なAIモデルへのアクセス、Attio・Notion・Slack・HubSpot・Affinity・Zapierとの連携、複数ユーザー分の請求・アカウント管理の一元化、MCP連携、APIアクセスが利用できるようになる。商談やクライアント対応が多く、Granolaを日常的なワークフローに組み込みたい場合、現実的な選択肢になる。
Enterprise(月35ドル)
Businessの全機能に加え、エンタープライズ向けセキュリティと管理者コントロール、シングルサインオン(SSO)、優先サポートと利用状況分析、組織全体での自動削除期間の設定、共有範囲・APIアクセスに関する管理者コントロール、チーム全員分を一括でAIモデルの学習対象から除外する組織単位のオプトアウト、Granola利用中であることを組織全体に通知する機能(本記事時点ではパイロット提供)が含まれる。コンプライアンス要件が厳しい業種や、情報システム部門の管理下で導入する場合の選択肢となる。
料金体系はこれまでも見直しが行われており、今後変更される可能性がある。契約前には必ず公式サイトで最新情報を確認することをおすすめする。
よくある質問
BusinessとEnterpriseの一番大きな違いは何か :
会議履歴や基本的な連携機能はBusinessプランの時点でほぼ揃っている。Enterpriseプランは、SSOや管理者コントロール、組織全体でのAIモデル学習オプトアウトなど、セキュリティ・ガバナンス面の機能が中心となる。個人や少人数チームであればBusinessプランで十分なケースが多い。
他の参加者に「Granolaを使っている」ことはどう伝わるか :
Granolaはボットとして会議に参加しないため、既定の状態では参加者リストなどを通じて自動的に相手に通知されることはない。Enterpriseプランには組織全体への通知機能がパイロット提供されているが、通常のプランでは利用者自身が口頭などで伝える必要がある。
まとめ
Granolaは、「ボットを会議に参加させない」という設計思想を軸に、商談やクライアント対応が多いビジネスパーソン向けに磨き込まれたAI議事録アプリである。自分のメモとAIの文字起こしを組み合わせる仕組みや、MCP経由でのAIエージェント連携など、単なる文字起こしツールにとどまらない部分に強みがある。一方で、録音の告知責任が利用者側にある点や、無料プランの会議履歴上限が公式には明確な数字で示されていない点は、事前に理解したうえで利用するのが望ましい。
料金面では、無料のBasicプランで基本機能を試したうえで、履歴の上限に達したタイミングでBusiness(月14ドル)へ移行し、セキュリティ・管理要件が厳しい組織であればEnterprise(月35ドル)を検討する、という流れが現実的な選択肢になる。
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