2024年に開催された「Made on YouTube」で発表され、段階的にグローバル展開が進んでいるのが、YouTubeの新機能「Hype(ハイプ)」です。 Hypeは、視聴者が“応援したい新進気鋭のクリエイター”を、これまで以上に発見されやすくするための仕組みとして設計されています。
本記事では、Hype機能の概要から、クリエイター・視聴者双方にとってのメリット、そして今後の展開までを整理して解説します。
Hype(ハイプ)とは何か?

Hypeとは、成長途中のYouTubeクリエイターをファンが直接後押しできる新しい応援機能です。
従来の「高評価」や「共有」に加えて、 「この動画をもっと多くの人に見てほしい」 という意思を、明確なアクションとして示せるのが特徴です。
Hypeされた動画は、専用の週間リーダーボードで順位が付き、注目度が高まります。
Hypeできる条件とルール
Hypeは誰でも無制限に使えるわけではなく、以下の条件があります。
- チャンネル登録者数が50万人未満のクリエイターの動画が対象
- 公開から7日以内の動画のみHype可能
- 1人あたり週3回までHypeできる
- Hypeは「高評価」とは別の専用ボタンで行う
これにより、すでに十分な影響力を持つ大型チャンネルではなく、 **“これから伸びる可能性のあるクリエイター”**に焦点が当たる設計になっています。
Hypeすると何が起こる?
① 動画がリーダーボードに載る
Hypeされた動画はポイントを獲得し、 **国別の週間Hypeリーダーボード(上位100本)**にランクインする可能性があります。
これにより、普段そのチャンネルを知らない視聴者の目にも触れやすくなります。
② 小規模クリエイターほど有利な「ボーナス」
YouTubeは、登録者数が少ないチャンネルほど有利になるよう、 **「スモールクリエイターボーナス(ポイント倍率)」**を導入しています。
単純なファン数勝負にならないよう、 規模が小さくても“熱量の高いファン”がいれば勝負できる仕組みです。
③ 特別な「Hypedバッジ」が表示される
多くのHypeを集めた動画には、 「Hyped」バッジが表示され、ファンに支持されている動画であることが一目で分かります。
また、ホーム画面では「Hyped動画のみ」を表示するフィルターも利用できます。
視聴者側のメリット:ただ見るだけじゃない体験へ
Hypeは、視聴者体験そのものを変える試みでもあります。
- 「好きなクリエイターの成長に参加している」感覚
- 自分のHypeがランキングに影響する達成感
- ランキング入りが近づくと通知が届く仕組み
さらに、毎月一定の活動を行うと、 「Hypeスター」バッジを獲得できるなど、ゲーミフィケーション要素も用意されています。
クリエイター側のメリット
クリエイターにとってHypeは、単なる装飾機能ではありません。
- 登録者数が少なくても発見されるチャンスが増える
- ファンの“本気度”が可視化される
- 国別ランキングで新しい視聴者層に届く
また、YouTube Studio(モバイルアプリ)では、
- Hype数
- Hypeポイント
- 動画ごとのHypeカード
- 週間レポート
といった分析情報を確認できます。
ベータテストの結果とデータ
Hypeは、トルコ・台湾・ブラジルで先行テストが行われました。
- 4週間で500万回以上のHype
- 5万以上のユニークチャンネルが対象
- Hype利用者の30%以上が18〜24歳
特にZ世代の反応が強く、「応援参加型」の仕組みが若年層にフィットしていることが分かります。
なぜYouTubeはHypeを導入したのか?
背景には、次のようなユーザー調査結果があります。
- 米国・日本・ドイツの18〜45歳視聴者の75%以上が 「小〜中規模クリエイターを応援したい」と回答
- Z世代では80%以上が同様の意向
YouTubeは、 「ファンは“見る・いいねする”以上の関与を求めている」 というインサイトから、Hypeを設計しました。
今後の展開:有料Hypeとカテゴリ別ランキング
YouTubeは、Hypeの将来についても明言しています。
- 追加Hypeを購入できる有料機能(現在は一部地域でテスト中)
- ゲーム・ファッションなど、ジャンル別Hypeリーダーボード
- 「今Hypeしたこと」を共有できる新しい表現機能
将来的には、 クリエイターにとって新たな収益導線になる可能性もあります。
まとめ:Hypeは“発見されにくさ”を変える挑戦
Hypeは、アルゴリズム任せだった「発見」の仕組みに、 ファンの意思を明確に介入させる新しい試みです。
- 視聴者:応援が形になる
- クリエイター:小規模でもチャンスが生まれる
- YouTube:エンゲージメントと新収益モデルを両立
「これから伸びるクリエイターを、みんなで押し上げる」 Hypeは、YouTubeのエコシステムを一段階進める重要なアップデートと言えるでしょう。
FAQ:Hype(ハイプ)ができない時があるのはなぜ?
YouTubeのHype機能は、すべての動画・すべてのユーザーが常に使えるわけではありません。 Hypeできない場合、ほとんどは仕様や条件によるものです。以下を順番に確認してみてください。
① 動画の公開から7日以上経過している
Hypeは、公開から7日以内の動画のみが対象です。 8日目以降の動画には、Hypeボタン自体が表示されません。
👉 対策
- 新しく公開された動画かどうかを確認
- 過去動画にはHypeできない仕様と理解する
② クリエイターの登録者数が50万人以上
Hypeは、登録者数50万人未満のクリエイター限定機能です。 一定規模以上のチャンネルは、Hype対象外になります。
👉 対策
- チャンネル規模がHype対象かを確認
- 中小・成長段階のクリエイター向け機能と理解する
③ 週3回のHype上限に達している
視聴者は、1週間に最大3回までしかHypeできません。 上限に達すると、その週はHypeボタンが無効になります。
👉 対策
- 次の週まで待つ
- 本当に応援したい動画に絞ってHypeする
④ 自分の国・地域では未対応、または段階展開中
Hypeは現在、段階的にグローバル展開されています。 39か国以上で利用可能になっていますが、アカウントや地域によってはまだ使えない場合があります。
👉 対策
- YouTubeアプリを最新バージョンに更新
- 正式リリースを待つ(順次拡大中)
⑤ YouTubeアプリ・UIの一時的な不具合
新機能のため、以下のようなケースも報告されています。
- アプリの表示が更新されていない
- 一時的にHypeボタンが表示されない
- 通信状況による表示遅延
👉 対策
- アプリの再起動
- アップデート確認
- 時間を置いて再度確認
⑥ 子ども向け(Kids)設定や制限付き動画
一部の動画タイプでは、Hypeが使えない場合があります。
- 子ども向け設定(Made for Kids)
- 制限付きコンテンツ
- 特定の実験対象外動画
👉 対策
- 動画の設定やジャンルを確認
- 仕様による制限として理解する
まとめ:Hypeできないのは「不具合」ではないことが多い
Hypeが使えない場合、ほとんどは以下のいずれかです。
- 公開から7日を超えている
- クリエイターが50万人以上
- 週3回の上限に達している
- 地域・展開段階の問題
Hypeは「誰でも・いつでも」ではなく、 新進気鋭のクリエイターを短期間で後押しするための限定機能です。
仕様を理解したうえで使うことで、 より効果的に応援し、YouTubeの新しい楽しみ方を体験できるでしょう。




