NVMeとは？ SATA SSD との違いや特徴について

現在、消費者向けの機械式ハードディスクドライブ（HDD）は時代遅れになり、ソリッドステートドライブ（SSD）の時代が到来しています。SSDの大きな利点の一つは、電源が入っていなくてもフラッシュメモリーチップ内にデータを保存できる点です。SSDは、デバイスの起動、アプリの起動、データ転送のパフォーマンスが非常に速いです。

2000年代初頭から、シリアルATA（SATA）ドライバは、ホストコントローラ（例：Advanced Host Controller Interface、AHCI）を介してストレージシステムとコンピュータを接続してきました。SATAは、ラップトップやデスクトップコンピュータ、サーバーなど、数多くのデバイスで使用されています。しかし、SATAはボトルネックがあり、大量のデータを処理する際には速度が遅いとされています。

Non-Volatile Memory Express（NVMe）の使用はその解決策の一つで、これはPeripheral Component Interconnect Express（PCIe）バスを利用し、最も高いスループットと最速のレスポンスタイムを提供するストレージインターフェースおよび転送プロトコルです。NVMeを実装するには、SSDがNVMeコントローラーチップを使用する必要があります。

この記事では、NVMeの動作とその特徴について詳しく探り、NVMeとSATA SSDの比較、およびNVMeの4つのフォームファクターと規格についても考察します。

NVMeはどのように動作するか？

最初、HDDストレージシステムではSATAインターフェースが使用されていました。SSDが人気になり始めると、コンピュータ環境でHDDからSSDへの移行が簡素化されました。

しかし、SATAにはいくつかの欠点があります。例えば、速度が制限されており、大容量のデータ転送に適していません。また、各SATAドライブはマザーボードの専用ポートに接続する必要があるため、接続できるストレージシステムの数にも制限があります。

そこで、SATAの限界に対応するために、2011年にNVMe（Non-Volatile Memory Express）が導入されました。NVMeは、ストレージインターフェースおよびプロトコルとして、PCIeバスと連携して、大量のデータを迅速に読み書きするために機能します。

NVMeは、SSDがPCIeバスを介してCPUに直接接続し、高速なレーンを使ってデータを転送できるようにします。PCIe第4世代の1レーンは最大2,000 MB/sのデータ転送が可能で、NVMe SSDは最大4レーンまで使用できます。一方、SATAは1レーンしか持たず、転送速度は最大600 MB/sです。

NVMe SSDとSATA SSDの比較

SATAインターフェースはAHCIドライバを使用するのに対し、NVMeはフラッシュストレージ技術を使用するSSD専用に設計されています。つまり、NVMeはSATAよりも速いだけでなく、パフォーマンスが最適化されています。その理由は、SATAがシステムCPUと接続する前にSATAコントローラーと通信するのに対し、NVMe規格はコントローラーを介さず、直接CPUに接続されるためです。

SATA SSDのAHCIドライバは、1つのキューに対して最大32コマンドしか利用できません。一方、NVMeは最大65,535のキューをサポートし、各キューに最大65,536コマンドを格納できます。

NVMe技術を使用すると、I/O処理の高いパフォーマンスを持つドアベル信号処理により、CPUはキューをより効率的に管理でき、CPUの負担が軽減されます。低いCPU負荷は、CPUサイクルの削減につながります。これに対して、SATA SSDはI/O処理で高いCPUサイクルを消費します。

NVMe技術は、SATA SSDに比べてデータパスが短縮・最適化されているため、レイテンシ（遅延）が低減します。NVMe SSDのレイテンシは約2.8マイクロ秒であるのに対し、SATA SSDは約6マイクロ秒のレイテンシがあり、NVMe SSDより約3マイクロ秒遅くなっています。

NVMe SSDは、エンタープライズ向けのワークロード処理、人工知能（AI）、機械学習、リアルタイム分析、大規模データ転送、DevOpsに最適です。これらはデータセンターや高性能なノートパソコン、事前構築されたデスクトップコンピュータでよく使用されています。

一方、SATA SSDは、小規模なデータ分析や軽いストレージアプリケーションに最適です。主に低価格のノートパソコンやサーバーで使用されます。

価格面では、NVMe SSDはSATA SSDよりも高価です。現在、1TBのSATA SSDの価格は約13,000〜17,000円ですが、NVMe SSDは1TBのストレージで17,000〜26,000円程度となります。

NVMeのフォームファクターと規格

NVMe技術は、その機能や仕様に関して引き続き改善が進められています。NVMeインターフェースが初めて登場して以来、市場には4種類のNVMeフォームファクターが登場しています。それは、U.2、M.2、Add-in Card（AIC）、およびEnterprise & Data Center Form Factor（EDSFF）です。

NVMeフォームファクターは、現在では業界標準と見なされているため、すべてPCIeベースのSSDと互換性があります。

各NVMeフォームファクターの説明は以下の通りです：

まとめ

NVMe（Non-Volatile Memory Express）は、前世代のSATAを超える画期的な技術で、顕著な性能向上を実現しています。より高速な転送速度と低遅延を提供し、他にも多くの利点があります。NVMeはPCIeデータレーンを利用しており、ストレージデバイスがCPUと直接通信できるようになっています。

NVMe SSDの最大のポテンシャルを活用するためには、リアルタイムアプリケーションの展開、データ分析、人工知能、機械学習などで使用するのが効果的です。

この記事では、以下の4種類のNVMeフォームファクターについて触れました：

この記事が、NVMeの仕組みや、SATAと比較したその利点についての理解を深める助けとなったことを願っています。