Navisworks

Autodesk Navisworksは、建設プロジェクトの計画、設計、施工、運用におけるコラボレーションと調整を支援する統合プロジェクトレビューソフトウェアです。特にBIM（ビルディング・インフォメーション・モデリング）プロセスと密接に連携し、異なる設計ソフトウェアで作成されたモデルを統合して4D（時間）や5D（コスト）のシミュレーションを可能にすることで、建設プロジェクト全体の効率化とリスク管理を強化します。

Navisworksの概要

Navisworksは、複数の設計データを一つのプラットフォームに集約し、3Dモデルの統合、干渉チェック（クラッシュ検出）、タイムラインシミュレーション、コスト管理などを行うことができる強力なツールです。Autodesk RevitやAutoCADなどのAutodesk製品とシームレスに連携するだけでなく、他社製のCADデータも幅広くサポートしており、プロジェクト関係者全員が同じデータに基づいて作業を進めることが可能です。

Navisworksの主な特徴

1. 干渉チェック（クラッシュ検出）機能
Navisworksの最も強力な機能の一つが、干渉チェックです。異なる設計者が作成した構造、機械、電気配線などの3Dモデルを統合し、相互に干渉する箇所を自動的に検出します。これにより、設計段階でのミスや見落としを早期に発見でき、現場での手戻りやコストの増加を防ぐことができます。クラッシュ検出の結果は、視覚的に分かりやすく表示され、問題箇所の迅速な修正を促します。

2. 4Dシミュレーション（施工スケジュールの可視化）
Navisworksは、プロジェクトの施工スケジュールを4Dシミュレーションとして視覚化する機能を提供します。プロジェクトの各工程を3Dモデルにリンクさせることで、施工の進行状況を時系列で確認できます。これにより、施工計画の最適化やリソース配分の調整が容易になり、スケジュールの遅延リスクを最小限に抑えることが可能です。

3. 5Dコスト管理機能
Navisworksは、5Dコスト管理機能を通じて、建設プロジェクトの予算管理をサポートします。3Dモデルにコスト情報をリンクさせることで、設計変更がプロジェクト全体のコストに与える影響をリアルタイムで可視化できます。これにより、予算超過のリスクを未然に防ぎ、プロジェクトの財務的健全性を維持することが可能です。

4. マルチフォーマット対応とデータ統合
Navisworksは、Autodesk製品に加え、IFC、DWG、DWF、RVT、STEPなど多数のファイル形式に対応しています。これにより、異なるソフトウェアで作成されたデータを一元的に管理し、プロジェクト関係者全員が統一されたデータ環境で作業を進められるようになります。また、クラウドベースのAutodesk Construction Cloudとの連携により、場所を問わずリアルタイムでデータの共有と更新が可能です。

5. コメント・レビュー機能
Navisworksは、モデル内に直接コメントやマークアップを追加できる機能を提供しています。これにより、設計者、施工管理者、施主など、複数の関係者が意見を交換しやすくなり、プロジェクト全体の透明性と効率が向上します。さらに、レビュー結果はBCF（BIM Collaboration Format）としてエクスポートでき、他のBIMソフトウェアと簡単に共有できます。

Navisworksの利用シーン

1. 設計レビューとフィードバックの迅速化
設計段階でNavisworksを使用することで、異なる分野の設計者（構造設計者、設備設計者、電気設計者など）が作成したモデルを一元管理し、設計の整合性を確認できます。これにより、設計の質が向上し、後工程でのトラブルを防止できます。

2. 施工管理と現場の効率化
施工現場では、Navisworksの4Dシミュレーション機能を活用して、施工計画を視覚化し、作業の進行状況をリアルタイムで管理できます。また、クラッシュ検出機能により、現場での手戻りや資材の無駄を削減し、コストの最適化を実現します。

3. 施主や関係者へのプレゼンテーション
Navisworksは、視覚的にわかりやすい3Dモデルや施工シミュレーションを提供するため、施主や投資家へのプレゼンテーションにも最適です。プロジェクトの全体像を直感的に理解できるため、意思決定の迅速化に貢献します。

Navisworksのライセンスと価格

Navisworksには主に3つのエディションがあり、それぞれの機能に応じて価格が異なります。

• Navisworks Simulate: 3Dモデルの統合とレビュー、4Dシミュレーションが可能。年間ライセンスは約20万円～30万円。
• Navisworks Manage: Simulateの全機能に加えて、干渉チェック（クラッシュ検出）機能が搭載されたフルバージョン。年間ライセンスは約50万円～60万円。
• Navisworks Freedom: 無料のビューア版で、モデルの閲覧と基本的なレビュー機能のみ使用可能。

ライセンスはサブスクリプション型が一般的で、必要に応じて月額プランや年間プランを選択できます。